日本を代表する世界的企業、トヨタ自動車。その経営の舵取りを担う人物たちの動向は、常にビジネス界の注目の的ですね。
現在、次世代のリーダーとして圧倒的な存在感を放っているのが近健太(こん けんた)氏です。2026年4月1日付でトヨタ自動車の社長に就任することが決定しており、豊田章男会長や佐藤恒治社長(現・次期副会長)からの信頼も極めて厚い人物です。

「財務のプロ」でありながら「変革の旗振り役」でもある近氏。一体どのような経歴を歩み、なぜトップに選ばれたのでしょうか?その軌跡を詳しく紐解いていきましょう。
近健太氏の経歴プロフィール|トヨタ社長も全幅の信頼を置く理由
近健太氏は、トヨタグループの中核を担う「変革のリーダー」です。彼のキャリアを一言で表すなら、「緻密な財務戦略」と「大胆な未来投資」を両立させてきた人物と言えるでしょう。
基本プロフィール(生年月日・出身大学・入社年次)
まずは、近氏の基礎的な情報を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
| 生年月日 | 1968年8月2日 |
| 出身地 | 日本 |
| 出身大学 | 東北大学 経済学部 卒業 |
| トヨタ入社 | 1991年(平成3年) |
東北大学を卒業後、1991年にトヨタ自動車へ入社。バブル崩壊直後の激動の時代にキャリアをスタートさせ、一貫してトヨタの屋台骨を支え続けてきました。
トヨタ自動車での歩み|財務のスペシャリストから経営の中核へ
入社後の近氏は、主に財務・経理畑でその才能を発揮します。
2017年に経理部長に就任すると、トヨタの巨大な資金の流れを司る責任者として頭角を現しました。その後、2018年には常務役員として「総務・人事」の副本部長も兼務。これにより、数字だけでなく「人・組織」という経営の最重要リソースを俯瞰する視点を得ることになります。
2020年にはCFO(最高財務責任者)に就任。10兆円を超える手元資金をどこに投じるべきか、トヨタの未来を決める「財布の番人」として、経営の中枢に位置付けられました。
なぜ「変革のリーダー」と呼ばれるのか?その異名を持つ背景
近氏が単なる「数字に強いエリート」で終わらないのは、「自動車メーカーからモビリティ・カンパニーへの脱皮」という難事業の最前線に立ち続けているからです。
- 攻めの投資: 先進技術開発カンパニーでの経験を活かし、ソフトウェアやデジタル領域への巨額投資を断行。
- 守りのガバナンス: CFOとして財務規律を維持し、不確実な時代でも揺るがない経営基盤を構築。
このように「守りと攻め」を高い次元で両立させている点こそ、彼が変革のリーダーと称される所以ですね。
近健太氏の華麗なるキャリアパスと主要な実績

近氏のキャリアは、専門性を軸にしながら、その領域を「点から線、線から面」へと広げてきた見事なステップアップの連続です。
経歴の変遷まとめ
- 1991年: トヨタ自動車入社。
- 2017年: 経理部長就任。
- 2020年: 執行役員、CFO就任。
- 2022年: 取締役・執行役員副社長に昇格。
- 2023年: ウーブン・バイ・トヨタ代表取締役兼CFOに就任。
- 2025年: Mobility 3.0 Office担当執行役員兼CFO。
- 2026年4月: トヨタ自動車 代表取締役社長就任予定。
危機をチャンスに変えた「ウーブン・バイ・トヨタ」での挑戦
2023年、近氏はあえて副社長という本体の要職を離れ、「ウーブン・バイ・トヨタ」の代表取締役兼CFOに身を投じました。ここは、実験都市「ウーブン・シティ」を含む、トヨタの未来をカタチにする最も過酷で挑戦的な現場です。
不透明なソフトウェア開発の現場において、近氏は「一部をリセットしつつ、一部を引っ張る」というスタンスで組織を再構築しました。困難な局面でも逃げずに、現場と一体となって変革を推進したこの時期の経験が、次期社長への決定打となったのは間違いありません。
トヨタ自動車執行役員・CFOとして果たした巨大な役割
CFO時代の功績も忘れてはなりません。コロナ禍によるサプライチェーンの混乱や、カーボンニュートラルに向けたEVシフトなど、自動車業界は100年に一度の変革期にあります。
近氏は、トヨタファイナンシャルサービスやトヨタ不動産の役職も兼務し、グループ全体の資本効率を最適化。巨大企業トヨタが、素早く動けるための「筋肉質な財務体質」を作り上げたのです。
【意外な一面】現場主義を貫く近健太氏の仕事哲学
「財務出身」と聞くと、デスクでパソコンの数字ばかり見ているイメージを持つかもしれません。しかし、近氏は徹底した現場主義者です。
役職名に「CFO(財務)」だけでなく「Head of Global Operations(グローバル・オペレーション担当)」が含まれていることが、その証拠です。
「数字の裏には必ず人の動きと現場の汗がある」という哲学を持ち、トヨタイムズ等の発言からも、現場の痛みを理解しながら意思決定を下す、温かくも厳しい姿勢がうかがえます。
近健太氏のトヨタ社長(佐藤恒治氏・豊田章男氏)との師弟・信頼関係
近氏が次期トップに選ばれた最大の理由は、歴代社長との間に築かれた「揺るぎない信頼」にあります。
豊田章男会長が評価した「数字の裏にある情熱」
豊田章男会長は、かつて近氏をCFOや副社長に抜擢しました。豊田会長は「意志あるお金の使い方」を重視する経営者です。
近氏が単なるコストカットに走るのではなく、「トヨタの未来のために今どこに投資すべきか」を情熱を持って語れる人物であることを、誰よりも高く評価していたと言えるでしょう。
佐藤恒治社長体制における近健太氏のポジショニング
2023年に就任した佐藤恒治社長にとって、近氏は「変革の同志」でした。佐藤社長が掲げる「継承と進化」のうち、特に「モビリティ・カンパニーへの進化」を実務面で支えたのが近氏です。
佐藤社長が2026年に副会長へ退き、近氏にバトンを渡すという人事は、**「変革を加速させるためには、財務と実行力を併せ持つ近氏が最適である」**という佐藤社長自身の強い意志の現れですね。
トップが重要な経営判断で「近氏に相談する理由」とは
なぜ、歴代トップは近氏を頼るのでしょうか?それは彼が「リスクとリターン」を同時に、かつ長期的視点で判断できる数少ない人物だからです。
- 短期的な利益だけでなく、10年後のトヨタに何が必要か。
- 新しい挑戦(リスク)に対し、財務的にどこまで耐えられるか。
この「チェック&バランス」の機能と、変革への深い理解が、トップにとっての「最高の相談相手」としての地位を確立させました。
近健太氏が描く「トヨタの未来」と今後の展望
社長就任を控えた今、近氏がどのような未来を描いているのかは、私たちビジネスパーソンにとっても非常に興味深いテーマです。
自動車メーカーから「モビリティ・カンパニー」への変革を牽引
キーワードは「Mobility 3.0」です。 近氏は、これまでの「車を作る」というビジネスモデルを超え、ソフトウェアやデータ、そしてエネルギーをも含めた「移動のプラットフォーム」を構築しようとしています。ウーブン・バイ・トヨタで培った知見を本体に還元し、トヨタを世界で最も愛されるモビリティ企業へと進化させる。これが彼のミッションです。
業界が注目する今後のキャリア動向
2026年4月以降、近新社長のもとで、トヨタの投資判断はよりスピード感を増すでしょう。
- 全方位戦略(EV、水素、ハイブリッド)のさらなる最適化。
- ソフトウェア定義型車両(SDV)の開発加速。
- 異業種との提携による新たな価値創造。
これらに対し、財務のプロとしての鋭い目利きと、現場を知るリーダーとしての突破力がどう発揮されるのか。業界全体が固唾を呑んで見守っています。
まとめ:近健太氏の経歴から学ぶ「これからのリーダー像」
近健太氏の歩みは、現代を生きる私たちに多くの示唆を与えてくれます。
専門性と柔軟な思考が信頼を生む
近氏は「財務」という絶対的な武器(専門性)を磨き抜きました。しかし、そこに安住することなく、人事や先進技術、そして現場のオペレーションへと自らの守備範囲を広げ続けました。
「一芸を極めつつ、全体を俯瞰する柔軟性を持つ」。これこそが、組織から求められる真のリーダー像ではないでしょうか。
私たちが近健太氏のキャリアから学べること
- 「専門性+α」の強み: 自分の軸となるスキルを持ちつつ、隣接する領域に挑戦し続けることで、代替不可能な存在になれる。
- 数字と現場の融合: データや理論を重視しながらも、常に現場で何が起きているかに耳を傾ける姿勢が、正しい判断を生む。
- 変革を楽しむ心: 危機的な状況や不透明な未来を「実験場」と捉え、前向きにリセットと構築を繰り返す胆力。
近健太氏が率いる「新生トヨタ」が、私たちの生活をどのように変えてくれるのか。その門出を楽しみに待ちたいと思います。


