広瀬すずさんの芝居の魅力は、まず「強い目」です。まっすぐに前を見据える眼差しと、そこからあふれる熱量。青春映画で夢に向かって突き進む姿は、見ている側まで引っ張り上げるような推進力を持っています。まっすぐで、明るくて、力強い。それが広瀬さんの第一印象です。
けれど、広瀬さんが面白いのは、その強さをいつも前に出すわけではないところです。まっすぐな熱を封じ込め、静かな痛みや影をまとった役も、同じ人が演じている。強い目を持ちながら、あえてその強さを引く。まっすぐな熱と、その奥にある静かな影。この2つを行き来できるところが、広瀬すずさんを見る一番の楽しみです。
この記事では、入門におすすめの厳選5作品を、見る順番つきで紹介します。まずは自然な家族劇から入って、青春の代表作、朝ドラのヒロイン、静かな痛みの文芸作、そして影をまとった新境地へと、熱とその奥の影を追っていく流れです。
🎬 広瀬すずさん作品を見る順番
① 海街diary → ② ちはやふる → ③ なつぞら → ④ 流浪の月 → ⑤ キリエのうた
①で自然な芝居をつかみ、②でまっすぐな熱、③でたくましいヒロインへ。④で静かな痛み、⑤で影をまとった新境地を見る並びです。①→⑤で、熱から影への振れ幅が体感できます。
広瀬すずの沼にハマる!絶対に見るべきおすすめ出演作5選
映画『海街diary』:浅野すず役!みずみずしい透明感で魅せる原点
まず1本目は、広瀬すずさんの自然な芝居に触れられる、穏やかな家族劇です。2015年公開、是枝裕和監督が吉田秋生さんの漫画を映画化した作品。鎌倉の古い家で暮らす三姉妹のもとに、腹違いの妹がやってきて、四姉妹の一年が静かに流れていきます。カンヌ国際映画祭にも出品され、第39回日本アカデミー賞の最優秀作品賞にも輝きました。(映画『海街diary』公式サイト)
広瀬すずさんが演じる浅野すずは、三姉妹の父の再婚相手の子で、鎌倉に引き取られる中学生の四女。サッカーが得意で、明るく気立てのよい少女です。長女・幸役は綾瀬はるかさん、次女・佳乃役は長澤まさみさん、三女・千佳役は夏帆さん。この作品で広瀬さんは、各映画賞の新人賞を総なめにしました。
とりわけ好きなのは、すずが、サッカーの場面で無邪気に走る姿です。芝居をしているというより、本当にその年頃の少女がそこにいるように見える。生活感のある自然な佇まいの中に、みずみずしい生命力があふれている。のちの多彩な役につながる、広瀬さんの原点が詰まった一本です。
この作品の見どころ
派手な展開はなくても、じんわり心に沁みる家族の物語です。鎌倉の四季の風景も美しく、四姉妹の関係性に癒されます。まず自然な芝居から入りたい人に、ちょうどいい一本です。
映画『ちはやふる』:綾瀬千早役!かるたに懸けるまっすぐな熱量
2本目は、広瀬すずさんのまっすぐな熱が全開になる青春の代表作です。2016年公開の「上の句」「下の句」と、2018年の「結び」からなる3部作。小泉徳宏監督が末次由紀さんの人気漫画を映画化しました。競技かるたに情熱を懸ける高校生たちの、友情と恋と成長を瑞々しく描きます。(映画.com『ちはやふる 上の句』作品情報)
広瀬すずさんが演じる綾瀬千早は、競技かるたに全力で打ち込む高校生。かるた部を立ち上げ、全国大会を目指してひたむきに突き進みます。幼なじみの真島太一役は野村周平さん、綿谷新役は新田真剣佑さん、かるた部の仲間・大江奏役は上白石萌音さん。これが広瀬さんの映画単独初主演作です。
見どころは、終盤の試合で、千早が畳の上に立った瞬間に、場の空気を変えるところです。普段の明るさから一転、かるたに向かう集中の顔になった途端、まわりの温度までぴりっと締まる。明るさと集中の切り替わりが、一瞬で伝わってくる。まっすぐな熱と、鋭い集中力。その両方を体現する代表作です。
この作品の見どころ
熱くて爽やかな、王道の青春・部活映画です。かるたの知識がなくても引き込まれます。広瀬さんはこの『ちはやふる -上の句-』で、第40回日本アカデミー賞の優秀主演女優賞を受賞しました。青春映画が好きな人におすすめの一本です。
朝ドラ『なつぞら』:奥原なつ役!戦後をたくましく生き抜くヒロイン
3本目は、広瀬すずさんが半年をかけて演じきった、朝ドラのヒロイン役です。2019年放送、NHK連続テレビ小説の記念すべき第100作。戦争で両親を失い、北海道・十勝の家族に引き取られて育った少女が、日本アニメーション黎明期の世界に飛び込んでいく姿を描きます。(NHK連続テレビ小説)
広瀬すずさんが演じる奥原なつは、開拓精神あふれる十勝で育まれた想像力と芯の強さで、アニメーターの道を切りひらいていくヒロイン。なつに大きな影響を与える画家・山田天陽役は吉沢亮さん、なつを育てる祖父・柴田泰樹役は草刈正雄さん、生き別れた兄・奥原咲太郎役は岡田将生さん。松嶋菜々子さんら豪華キャストがなつの歩みを支えます。
引き込まれるのは、戦争で両親を失ったなつが、それでも下を向かず、たくましく前へ進んでいく姿です。悲しみを抱えながらも、恵まれた環境に甘えず、自分の力で道を切りひらこうとする。強い目の奥に、周りへの感謝と芯の強さがまっすぐに宿っている。広瀬さんのまっすぐな熱が、半年の物語を通してたっぷり味わえます。
この作品の見どころ
北海道の雄大な風景と、心温まる家族の物語が魅力の朝ドラです。連続テレビ小説100作目という記念作でもあります。長い物語の中で、広瀬さんの成長と奮闘をじっくり見守りたい人におすすめです。
映画『流浪の月』:家内更紗役!過去の傷と静かに向き合う痛切な芝居
4本目は、広瀬すずさんの静かな痛みが胸に刺さる文芸作です。2022年公開、李相日監督が2020年本屋大賞の凪良ゆうさんの小説を映画化した人間ドラマ。ある女児誘拐事件の当事者とされた二人が、15年の時を経て再会するさまを描きます。(映画『流浪の月』公式サイト)
広瀬すずさんが演じる家内更紗は、幼い頃に「被害女児」として世間から扱われ、大人になっても生きづらさを抱える女性。かつて自分を家に招き入れた青年・佐伯文役の松坂桃李さんと再会し、世間の理解が届かない関係を静かに紡いでいきます。共演は更紗の恋人・亮役の横浜流星さん、多部未華子さん。
個人的に忘れられないのは、更紗が文と再会し、過去の傷を抱えたまま静かに向き合う場面です。大きく泣くでも叫ぶでもなく、長い年月ぶんの痛みを、静かに胸に収めたまま相手を見つめる。強い感情を、あえて表に出さずに抱えている。強さを前に出さない、抑えた芝居の深さが際立つ一本です。
この作品の見どころ
静かで、余韻の深い文芸ドラマです。明るい青春の代表作とはまったく違う、影をまとった広瀬さんが見られます。重めでも見応えのある人間ドラマを求める人におすすめの一本です。
映画『キリエのうた』:イッコ役!影をまとい物語を支える新たな挑戦
最後は、広瀬すずさんが従来のイメージを覆す新境地で締めます。2023年公開、岩井俊二監督が小林武史さんの音楽とともに描いた音楽映画。歌うことでしか声を出せない路上ミュージシャンを中心に、それぞれ異なる背景を持つ4人の男女の物語が、石巻・大阪・帯広・東京を舞台に紡がれます。(映画『キリエのうた』公式サイト)
広瀬すずさんが演じるイッコは、過去も名前も捨てて、路上ミュージシャン・キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性。主人公キリエ役はアイナ・ジ・エンドさん、姿を消した婚約者を捜す青年・夏彦役は松村北斗さん、人々に寄り添う教師・フミ役は黒木華さん。広瀬さんはピンク髪の姿で、これまでにない役に挑みました。
強く印象に残るのは、イッコが自分の名前も過去も捨てて、キリエを支える側にまわる、その影をまとった佇まいです。主役として前に出るのではなく、誰かを支える側に静かに回る。何かを背負って生きてきたことがにじむ、翳りのある存在感がそこにある。強い目を持つ広瀬さんが、あえてその強さを引いてみせる挑戦作です。
この作品の見どころ
アイナ・ジ・エンドさんの歌声が心に響く、独特の余韻を持つ音楽映画です。第47回日本アカデミー賞の話題賞も受賞しました。広瀬さんの新しい表情を見たい人におすすめの一本です。
【比較表】広瀬すずの出演作5選を徹底比較!ピッタリの選び方
| 作品名 | 種別・役どころ | 見やすさ | こんな面が見たい人に |
|---|---|---|---|
| 海街diary | 映画/四女・浅野すず | 126分・家族ドラマ | みずみずしい透明感 |
| ちはやふる | 映画/高校生・綾瀬千早(主演) | 3部作・青春映画 | かるたに懸ける熱量 |
| なつぞら | 朝ドラ/ヒロイン・奥原なつ(主演) | 全156回・朝の連続ドラマ | たくましく生きる強さ |
| 流浪の月 | 映画/更紗・家内更紗 | 150分・文芸ドラマ | 静かな痛みと影 |
| キリエのうた | 映画/マネージャー・イッコ | 178分・音楽映画 | 影をまとう新境地 |
自然な家族劇なら『海街diary』、まっすぐな青春なら『ちはやふる』、たくましいヒロインなら『なつぞら』、静かな痛みなら『流浪の月』、影をまとう新境地なら『キリエのうた』。まっすぐな熱から静かな影まで振れ幅が大きいので、その日の気分で選んで問題ありません。
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広瀬すずの基本プロフィールと知っておきたい経歴
| 名前 | 広瀬すず(ひろせ すず) |
|---|---|
| 生年月日 | 1998年6月19日 |
| 出身地 | 静岡県静岡市(清水区) |
| 所属事務所 | フォスタープラス |
| デビュー | 2013年/ドラマ『幽かな彼女』 |
| 家族 | 姉は女優の広瀬アリス |
受賞歴:『三度目の殺人』で日アカ最優秀助演女優賞!圧倒的な実力
広瀬すずさんは、若くして数々の映画賞に名を刻んできました。出発点は2015年の『海街diary』。この演技で第39回日本アカデミー賞の新人俳優賞をはじめ、各映画賞の新人賞を総なめにし、一気に注目を集めます。デビューから間もない時期に、これだけの評価を受けたことが、実力の高さを物語っています。
さらに翌年の第40回日本アカデミー賞では、『ちはやふる -上の句-』で優秀主演女優賞、『怒り』で優秀助演女優賞をダブル受賞という快挙を達成。そして第41回では、是枝裕和監督の『三度目の殺人』で、ついに最優秀助演女優賞を受賞しました。明るい代表作から、影をまとった役まで。幅広い役で高く評価される、確かな実力の持ち主です。
これまでの歩み:『Seventeen』専属モデルから国民的女優への軌跡
広瀬すずさんは、姉である広瀬アリスさんが専属モデルを務めていた雑誌『Seventeen』のイベントに同行したことがきっかけで、芸能界入りしました。2012年に「ミスセブンティーン」でグランプリを獲得して同誌の専属モデルとなり、2013年のドラマ『幽かな彼女』で女優としてデビューします。
2015年の『海街diary』で新人賞を総なめにすると、翌年の『ちはやふる』で映画単独初主演。以降、『怒り』『三度目の殺人』などで実力を示し、2018年にはNHK紅白歌合戦の紅組司会も務めました。そして2019年、連続テレビ小説100作目『なつぞら』のヒロインに抜てき。映画・ドラマの両方で第一線を走り続ける、日本を代表する若手女優のひとりです。
静岡県出身・1998年生まれ!広瀬アリスを姉に持つ華やかな素顔
静岡県静岡市(清水区)出身、1998年生まれの広瀬すずさん。姉が女優の広瀬アリスさんという、華やかな姉妹でも知られています。もともとは姉のモデル活動に付き添った先でスカウトされたのがきっかけで、姉妹そろって芸能界の第一線で活躍するようになりました。
強い目とまっすぐな存在感でスクリーンを引っ張る一方、飾らない親しみやすさも大きな魅力です。青春映画のヒロインとしての眩しさと、影のある役をも引き受ける懐の深さ。その両方を若くして併せ持つところが、幅広い世代から愛される理由になっています。
広瀬すずの演技の魅力:まっすぐな情熱と、その奥に潜む静かな影
この5本は、「まっすぐな熱」と「静かな影」の2つに注目して見ると面白さが変わります。まず、広瀬すずさんの強い目とまっすぐな熱を感じてみてください。千早のかるたへの情熱も、なつのたくましさも、その強い眼差しから生まれています。前へ前へと突き進む推進力が、まず大きな見どころです。
そのうえで注目したいのが、その強さをいつも前に出すわけではないところです。広瀬さんは「強い目」を持った俳優ですが、更紗やイッコのように、あえてその強さを引いて、静かな痛みや影をまとうこともできる。熱を封じ込めたときの佇まいに、逆に深い感情がにじみます。表に出す熱と、内に沈める影。その加減を役ごとに変えられるからこそ、同じ強い目でもまるで違う人物に見えてきます。
面白いのは、この熱と影の振れ幅がとても大きいことです。眩しい青春のヒロインから、翳りを抱えた女性まで、同じ強い目を土台にしながら演じ分ける。まっすぐに輝くことも、静かに沈むこともできる。5本を順に見ていくと、広瀬さんがこの2つをどう行き来しているかが、はっきり見えてきます。
まとめ|広瀬すずの出演作!迷った時はこの順番で見るのがおすすめ!
最初の1本は『海街diary』です。自然でみずみずしい芝居を通して、広瀬すずさんの原点にすっと触れられます。肩の力を抜いて楽しめるので、ここを入口にしてください。
次に『ちはやふる』でまっすぐな熱を、『なつぞら』でたくましいヒロイン像を味わう。そのあと『流浪の月』で静かな痛みを見て、最後に『キリエのうた』へ。明るい青春から影をまとった役へと進む順番で並べると、この女優のまっすぐな熱と、その奥にある静かな影が体感できます。
時間が限られているなら、『ちはやふる』と『流浪の月』の2本で構いません。かるたに懸けるまっすぐな熱と、傷を抱えて静かに向き合う影。この2役の距離が、そのまま広瀬すずさんという女優の幅です。
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参照した公式情報・確認先
映画『海街diary』公式サイト
映画.com『ちはやふる 上の句』作品情報
映画『流浪の月』公式サイト
映画『キリエのうた』公式サイト
日本アカデミー賞公式サイト
